クオリカ導入事例

製造業向けクラウド対応
生産管理システム
「ATOMS QUBE」
ITAOTEC(THAILAND)CO., LTD.の事例

背景

見えてきたエクセル管理の限界

評価ポイント

日タイの意識統一が決め手に

効果

時間ロスなく生産計画を策定

背景

機械加工から組立まで一貫生産に業容拡大
膨大なエクセル入力作業が生産管理で発生

石川県小松市に本社を置く1951年創業の板尾鉄工所は、主に建設・産業機械の部品を製造。世界大手コマツやキャタピラーなど向けに供給しています。石川県内には現在、4つの工場を展開。唯一の海外工場がタイのチョンブリ県シラチャのピントン工業団地にあるITAOTEC(THAILAND)です。日本と同様、建設機械の足回り部品であるアイドラクッションAssyや作業機ピンを、機械加工から熱処理、溶接、組立まで一貫生産し、タイやインドネシア、インドのコマツなどに供給しています。

2009年に稼働を始めた当初は、現在4000㎡ある工場の4分の1程の広さしかなく、部品は日本からすべて輸入して、組立だけを行っていました。そこから徐々に工作機械や溶接機、焼き入れ装置などを導入して仕事の幅を増やし、現在の一貫生産体制へと発展させていきました。そんな中、課題となったのが、設立当時から行っていたエクセルによる生産管理です。扱うアイテムが少なかった時ならまだしも、業容が拡大して取扱品目やお客様が増えていくにつれて、日々のエクセルの入力作業も膨大になっていきました。

各現場から上がってきた数字を手入力するので、打ち間違える可能性もあります。さらに生産管理の他、営業、会計といった部署、担当者ごとにファイルが存在し、急な注文の変更が発生した時など、情報の共有を図るのも一苦労でした。生産管理のタイ人リーダー、Pornthip Aryuyuen氏らの頑張りで業務は滞りなく進められていたものの、その分依存度は高く、もし彼女の身に何かあったらとの懸念も絶えません。果たしてこのままで大丈夫なのか。そこで生産管理システムの導入を本格的に検討し始めました。

選定

「画面ばかり見て仕事をしている」と本社幹部
日本本社、タイ法人の気持ちが導入に向け一つに

周囲の企業にも聞いた結果、候補に挙がったのがクオリカのクラウド対応生産管理システム「ATOMS QUBE」です。受注出荷や購買、在庫管理、生産計画など、生産管理に求められるあらゆる機能を搭載し、クラウド型なのでインターネットに繋がれたパソコンさえあればすぐに導入できます。

それでもシステム導入となると、ある程度の規模の投資になります。本当に必要なのか、タイ法人、日本本社との間で議論が重ねられました。クオリカのタイ法人の日本人スタッフが小松市の本社へ説明に行ったこともありました。ある時、日本から生産管理の幹部が出張でITAOTECを訪れた際、「みんながエクセルの画面ばかり見て仕事をしている。少しでも負担を減らして他の業務をできるようにしてあげれば良いのでは」ともらします。5人の生産管理部門の内、4人が入力作業に追われていました。やがて日本本社、タイ法人、何より現場のタイ人スタッフの気持ちが導入に向けて一つに固まっていきました。

プロジェクトのキックオフは19年5月。クオリカとITAOTECの間で約2ヵ月間に亘って、週に2回のペースで数時間に及ぶミーティングがもたれました。エクセルで行われている作業をシステムに置き換えるにはどうすればよいのか、話し合いを続けました。そして、同年末から本格的に「Atoms Qube」が稼働し始めました。

効果

入力作業は激減、社内の情報共有が円滑に
よりリアルタイムの生産計画が実現へ

稼働後は各部署で入力された数字がすぐにシステムに反映されるため、生産管理部門での入力作業は激減しました。そして情報の共有が大きく進みました。Pornthip氏は「以前は各部署から在庫はどれくらいあるのかよく聞かれました。今は誰でもシステムに入れば分かるので、わざわざ足を運んで聞きに来ることがなくなりました」と語ります。

単純な入力作業が減った分、数値が合っているのかどうか、チェックに使える時間が増えました。どの工程でまだデータが入力されていないのかも、システムを見ればすぐに把握できます。日本本社でも生産管理システムを導入しており、複雑なエクセル管理に比べて日本から来た出張者もタイの実態を把握しやすくなりました。

情報が逐一反映されるということは、よりリアルタイムのデータに基づいた生産計画作成につながります。エクセル管理の時は、営業に注文が来てから生産管理に伝わるまで丸1日を要することもあり、タイムラグが生じていました。今では朝、注文が登録されれば、その日の内に生産計画を立てることができます。

システム導入後、西野雄二工場長も現場の変化を感じました。「エクセルで作業をしていた時は現場に在庫が多すぎたり、逆に少なすぎると感じる時がありました。今は在庫が安定しているように見えます」。当時導入を主導した生産管理の辰巳直史氏はそれに対して、「生産管理は、いかに製造現場にモノを届け、そして現場から上がったモノを次の工程に運ぶかが仕事です。モノがしっかりと流れていると言われると、うれしいですね」と喜びます。

また、受注登録作業も簡略化されました。大手企業の場合、内示という形で注文予定が翌年分まで入ることもあります。ただし、あくまで予定のため毎週のように変更が生じます。その度に以前はエクセルに変更を加えていましたが、システム導入によって「データとしてそのまま張り付けられるようになりました」(辰巳氏)。

今後の展開

システムを活かしてスタッフの意識を改革
新たなステージを目指す

まだ本格的に「ATOMS QUBE」を使い始めて間もなく、Pornthip氏は「正直なところ、100%使いこなせているわけではありません。まだまだ勉強中です。そして知れば知るほど、私たちの要求も高まります」と語ります。何がどこまでできるのか、探求は続いています。

そして、情報を共有できる体制が整った今、次のステップとしてその情報をどう活用していくかに焦点が移っています。Pornthip氏は「全員が同じくらいシステムを理解してほしいです。そうすれば誰かが欠けても、すぐにその穴を埋めることができます」と話します。共有されたデータを基に、各部署が何をすれば良いのか自主的に判断していく。そんな、各スタッフの意識の変化が期待されます。

昨年、ITAOTECは工場の稼働開始から10周年を迎えました。2度目の赴任で社長として会社を引っ張る北村勇成氏は「この10年間は少しずつ大きくなり、成長していく姿を見ることができて、すごく楽しかったです」と語ります。さらなる発展を目指して、日本人、タイ人スタッフが一体となった奮闘が続きます。

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